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オリジナル推理小説サイト「花布」の更新状況及び管理人の独り言。ぐだぐだです。
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 まずは直近で読んだEブロックからです。一応、注意書き及びスタンスをリンクしておきます。→
 なお、抗議・苦情・叱咤激励・矢文などはBlogのコメント欄や拍手やメールフォームからどうぞ。

E01 生きてさえいれば
 えー、いい話だなと思ったら父親が作った同人誌ですか。お話のように現実は奇麗事云ってられないというシビアなエンド。確かに家財道具も家族も失ったら身一つで助かっても絶望するわな。同人誌の家族関係がそのまま現実に当てはまるかは判りませんが(むしろお姉さんに関しては「お姉ちゃんが辛さから逃げるために自分を燃やした火」とあるので、もっと悪い状態に思える)「あたし」は変わらなそうです。
「野次馬が騒いでても、傍にはあたしの傍には誰も来ない。一緒に住んでいるお父さんとお母さんとお姉ちゃん。
 みんないなくなって、あたしだけここにいる。」
 と、あるように同人誌と同じように家族が寄り添っていたら、きっと「生きていれば」と云えたんだろうなぁ。
 タイトルは「生きて”さえ”いれば」で本文中は「生きていれば」ですが、「さえ」のあるなしはどんな意味があるでしょうか。そこが気になりました。
E02 キドニーパイをひとくち
 「シャーリー」の二巻が出て大喜びの私ですので、メイド萌え! 超萌え! であります。事前に飯テロと聞いていたので、いちじくのパフェとフルーツサンドをお供に読んだ私には死角がなかった。
 当時の風俗やさらりと説明が挟まっていて書き慣れている印象でした。クリスマスの一日を通して主人公の置かれて立場や将来への葛藤を短いページで奇麗にまとめられています。なによりイギリス料理なのに美味しそう(偏見)なのがすごい。
 最後の前向きだけど、主人公の進路を触れずにミドルトン家のクリスマスで終わるのが余韻があって好きです。読了後の想像が膨らむんで。
 素朴な疑問なんですけど、主人公リネットは結婚してるのですか? 「ミセス・ストー」と呼ばれていたので結婚しててもロンドンに行けるものなのでしょうか? それとも慣習である程度の年齢と立場があると「ミセス〜」になるものでしょうか?
E03 火を目指して飛んでいけ
 どんなに大切な友達で大好きな子でも、すべてを許せるわけではない。理性では割り切れることでも感情は追いつかないこともある。ましてや思春期の女の子ならば、特にそうなんだろうと容易に想像ができます。ひーちゃん、いい子だから余計に鬱憤溜まるんだろうなぁ。親友まで遠いところに行って欲しくないから、香子ちゃんの言動にフラストレーション溜まるだと思います。
「たまちゃん、キュウリのお馬に乗ってるんよ。うちは、真っ白な折り鶴に乗ってた」
 ここがとても好きです。映像がぱっと浮かんで、幻想的でちょっとクスッと笑える要素があって素敵です。
E04 酔夢春秋
 天狗と幼女との友情もの。お約束と云ってしまうと軽くなりますが、永遠に近い時を生きる者と短命な人間との一時の交流ですね。ええ、好物です。
 ちさを山火事から助け出して、めでたしめでたしと思いきや「これまでに仲良くなって一緒に遊んだ里の子が、みな自分より先に大きくなって自分を忘れてしまったこと、それからあっという間に年を取って死んでしまったことなど、今はすっかり忘れている」を突っ込んでくるあたり作者様はよく解ってらっしゃる。
 タイトルからして、この最後になるのは解っていたんですけどね。酔夢童子が永遠の童っぽいので余計胸に刺さります。せめて、ちさと長く楽しく遊べますようにと願います。
E05 グラスキャンドルライト
 バンドマンと付き合っちゃっダメ。インディースでもメジャーでも関係ない。ありゃ、ろくなもんではないですよ(偏見に満ちてます)。
 全体的に主人公の乙女嗜好バリバリっぷりに微笑ましくも、どうせバンドマンなんだから〜と思って読み進めていました。未練タラタラなんだもん。いっその事、一線越えてた方が吹っ切れたと思うんですよね。良い人ぶってんじゃないよ、卓巳くん。
 最後の主人公の淡い期待に決着ついても、良い思い出化されていて、きっと卓巳くんも美化されてるんだろうなぁと思うとなんかこうモヤモヤします。
E06 ことのはに
 少し不思議な話。これもフォーマットに沿った流れで、読者の期待を裏切らない。女将が年若い美人だったら喪黒福造的展開もあったりするのかもしれませんが(奥さん裏切っちゃうパターン)、そんなこともなく読後にうっかり受けてしまうダメージを懸念する必要がなくなります。
「『言葉に火を通す』、忘れるんじゃないよ」
 夫婦間でも仕事でも言葉って大事ですよね。一言で思わぬ方向に転がっていくことが多々ありますからね(遠い目)。ただ、この主人公は女将の言葉にご立腹で、奥さんに言葉の謎解きをしてもらっているので、ちゃんと自分の言動を振り返ったのかなというのが気にかかりました。
E07 暁の女神と黄金の悪魔(※注)
 戦場の勇ましい皇女は本当は普通のお嬢さんだったというギャップ萌え。そうじゃないと、最後の選択が腑に落ちないですしね。
「――はらりと、花が、落ちた。」
 古風な表現です。時代劇(しかも80年代以前)でしか見たことがなかったので却って新鮮でした。文章だと初めて読んだかも、朝チュンよりも全然奇麗な言葉だなぁ。
 おお、この流れでハッピーエンドなったので驚きました。広大背景のロミジェリ両者が手に手を取って逃げるのはロマンですよね! この状態で逃げるのかっていうツッコミできますが、この状態で帝国が負けるとも思えず、ルシウスも帰ってきたら幽閉されるしで王国に嫌気もさします。
 ページ数の制限の影響で二人の背景がかなりぎゅうぎゅうに詰め込まれていたのが少し残念でした。花が落ちる前にルシウスが読んでた手紙には事の真相(母が謀殺し、国の兄を廃嫡しのは、自分を国王にして傀儡政権作るため帝国が仕組んだ)が書いてあったのでしょうか? それともズバリ、皇帝暗殺の指示でしょうか? 彼自身は穏やかそうで自分から行動を起こすタイプには思えなかったので……その方が最後の国を捨てるのも解るような気がします(私の勝手な考えですが)。

E08 女神は灰の夢を見る
 冒頭の一文でガツンとやられました。 ‏
 「私の同僚であるところのS女史の豊かな胸の内側の暗闇には、赤い火が燃えている。」
 これで興味を惹かれないわけがない! こういう冒頭が書けたらいいなぁ。すごいなぁ。憧れる。
 S女史の秘密を知ってしまったわけですが、キタキタのようなことなく主人公は無事に日常に戻っていきます。ただ、主人公にはS女史の胸の中に赤い火を燃えていることを忘れることはないんでしょうね。
 こういう話書きたいです。
 

E09 The Phantom Circus, Fire Funeral
 老人が死ぬ間際に見た夢現の物語。サーカスってだけで、なぜた幻想的に見えてくるから不思議です。
 セシリアとアーロン助からなかったんですね。最後に夢の中で会えて主人公は心置きなく旅立てたのでしょうか?
「握り締めた腕に硬い感触。消火器。ディックはピンを引き抜き、ノズルを炎に向けた。」
 これで二人が助かるエンド来るのか!? と思って読みましたが、
「トリガーを引く。あふれたのは消火液ではなく、きらびやかな銀の煙と紙吹雪。」
 あくまでもこのサーカスは夢の世界だと思い知らされます。心の傷を抉ることを再現させる理不尽さが妙にストンと心に落ちました。

E10 朱樂院家の焼失
 勧善懲悪ですね! 蓉子が性悪っぷりが凄い。自分の姉の顔を焼いて、そのまま火傷痕を醜いと蔑むってどんだけ外道だよ! あのまま瞳子を追い出したら、次は奥様と仲違いして
 主人公誘惑して朱樂院家乗っ取り完了。ここまで妄想が進みました。憎まれ役が中途半端だと最後のカタルシスがイマイチになってしまうので、これぐらい酷い方がちょうどいいですね。
 主人公が最初「それ」と云ってたのに「瞳子」に変わったていくのが心情が現れてて良かったです。

E11 種火
 新選組ですね。池田屋キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ !!!  私のジャンルなんでテンション高いですよ(某歴史雑誌の投稿者でしたし)。
 近藤視点で話が進みます。ページ数のことを考える終着は池田屋に乗り込むところだろうなぁと検討がつきます。テーマは「火」なので、京都を火の海にする計画に絡めるのかな? と思って読み進めてました。なるほど、そう落としたかというラストでした。タイトルと合わせて上手いなぁ。
 以下、新選組(新撰組)好きのたわごとです。このページ数に収めるために京の情勢やその他諸々の説明を削ったのは潔いですが、初心者にはハードルが高いのではないかと思います。反対にマニアには知っていることの羅列にも思えるほどの簡潔さでした。近藤視点なので、近藤の思想というか情勢についての考えとか憎いあんちくしょうとか書いてもらえると嬉しかったです。あと山崎さん出して欲しかった……完全に趣味です、ハイ。
 最後に、難しい題材を選んで書こうというだけで尊敬できます。まさか覆面企画で新撰組ものが読めるとは思いませんでした。ありがとうございます。

E12 プロメテウスの崖
 あーもう、難しいなぁ、これ。えーと、作者は盲管さんですよね? 
 近未来SFです。お気を悪くされたら申し訳ないですが、読んでて「ハーモニー」を思い浮かべました(「ハーモニー」大好きです)。主人公の境遇と年齢と階級から考えると防衛大出の幹部候補ってところですね。
 こちらも一切余計な説明がない感じです。せめて「EPTと呼ばれる単座二脚戦闘車」をもう少し詳しく説明していただけると想像できます。ストーリーは詰め込んでいるような気がしますが、スピード感を考えるとあんまり書き込んでもバランス悪くなるし難しいところです。それでも、もう少しページ数足して読みたかったです。
 地球温暖化とエネルギー問題が絡んで起こりえる未来として想像できました(再生エネルギーはこの世界でも主流じゃないのか)。さすが腕があるなぁ。

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ありがとうございました!
 こんにちは、覆面作家企画6でお世話になりました。E11「種火」を書いた藤原湾です。
 拙作に感想を頂き、ありがとうございました!

 歴史雑誌に投稿されてたんですね。そのような方に感想を頂けるとは、驚きでした。
 新選組と認識しないで読んでもらうのも一興かと思ってたので、結果ハードルが高くなってしまったことには本当に反省のしきりです。逆によくご存じの方にはどうかな?と思っていたので、本当にその点はごめんなさいというしかありません。山崎さん出てたんですが、キャストを変えちゃったんですよね……それなら残せばよかったですね。
 タイトルと絡めて感想を頂けたのに、嬉しかったです。
藤原湾 2014/10/21(Tue)21:57:15 編集
Re:ありがとうございました!
コメントありがとうございます。好き勝手書いてしまって申し訳ございません。歴史雑誌といっても硬派なものではないので、お恥ずかしい限りです(お祭りのテンションとして流してください)。
「種火」は素敵なタイトルですね。いつもタイトルを付けるのに苦労するので、内容に絡めた深いタイトルに憧れます。
山崎さん出てたんですね、それはちょっと残念でした(その代わりの島田さんでしょうか?)。
すず  【2014/10/24 22:03】
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