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オリジナル推理小説サイト「花布」の更新状況及び管理人の独り言。ぐだぐだです。
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Fブロックの感想です。ネタばれ満載です。
お手数ですが、先にちらのエントリーをお読みください →注意書き

お読みになりましたね? では「つづきはこちら」からどうそ。

F01 狭間
 全文が「」閉じという技法を浅学ながら始めて見ました。正に一人称。今度使ってみたいです。
 短いお話ですがですが、きちんと着地しててショートショートのフォーマットに綺麗にはまっていました。私が短く話をまとめるのができないので純粋にもう羨ましい。
 紳士らしい語り口はとても読んでて心地良いです。『二つの道があってどちらにしようか悩んでいた、と』という表現が好きです。どんな悩みかなんだろうという興味もありますが、相手を尊重して余計なプライバシーに踏み込んでないのが、とても紳士らしく思えました。

※ここからは私の趣味の問題なので本当に「こういう人もいるのか~」程度で流してください。
 全文ジェームズ・ヒギンズ氏の語りなので、それを信じるしかないのですが、花菜嬢が素直過ぎるなぁと感じました。ジェームズ・ヒギンズがきっと外見も上品な紳士だと思うのですが、初対面の人間に警戒心ないがないなぁ、と。少しだけ花菜嬢の不安を和らげる言葉があったら、さらに紳士度と安心感(相談相手としての)アップしたのではないかと思います。


F02 覆面朗読会を始めましょう
 翻訳っぽい文章だ! 海外ミステリ読んでいるようでした。
 イザベラがドロシーに役を譲るシーンがこの作品が最大に盛り上がるポイントだと思うのですが、読んでいて彼女たちの緊迫している様子が感じられて良かったです。

※ここからは私の趣味の問題なので本当に「こういう人もいるのか~」程度で流してください。
 イヴの存在の大きさが丁寧に書かれていたのですが、その分イザベラとドロシーの関係の描写が少なかったように思えました。「覆面朗読会」を介しての友情だったように思えてしまい、少し残念でした。二人の友情からイザベラがドロシーに役を譲ったことにならないと最後の仲直り(であろう)シーンが弱くなってしまうような気がしました。

 最後に仲直り(であろう)シーンがあって良かったです。ハッピーエンド好きなので。


F03 モノクロメトロ
 恋愛小説というものをほとんど読まないので、読み方を思いっきり間違えている可能性が高いです。

※ここからは私の趣味の問題なので本当に「こういう人もいるのか~」程度で流してください。
 ごめんなさい。これは辛口になると思います。人称による語り手の切り替えは効果的に使用するのが難しいです。二人の女性が語り口が口語体で似ているので、ミステリ脳の私なんぞは、何かトリックがあるに違いないと勝手に思いこんだりしてしまいますから。
 「あたし(現彼女)」と「私(元カノ)」で交互に話が進んでいくと思いきや、「自分(彼氏)」が途中で入ってきたので、これは彼氏が現彼女を殺すのかな? などと思っていたらそのまま何もなくエンド。
 うーん、悩みます。主題はどれだろう? 元カノの狂気さ? 男に執着する女たちだったら、彼氏パートは必要ないような気が……。実は腹黒だった彼氏パートのせいで女たちが哀れ(というか滑稽にすら)に見えて感情移入できません。腹黒彼氏と似たような女たちの関係を書きたかったということでしょうか? そうなると元カノと現彼女が最後に唐突に(勝手な)彼の呪縛(元カノは彼氏を諦め/彼女は起きている彼氏に触れる)から解き放たれてしまうので、読者は置いてきぼりにされてしまいます。


F04 ハートブレイク・ランニング
 ああ、青春の香りがします! こういうの書きたいな~と思いました(書き手視点過ぎる)。そんな男捨てておしまいなさい(読み手視点だとこうなります)。
 失恋した少女がなぜ走っているんだろう? と最初でぐっと引き込まれて、その少女(舞)と先輩の慣れ染めから別れまでまさに駆け抜けていく……巧いなぁと感心しまくりです。
 一点気になったのが、ゴールに待っている友達が唐突な印象を受けました。友人たちがインパクト強い分(口調で書き分けされているので)、急に舞の世界から引っ張りだされた気がしました。『そのとき扉を叩いた写真部の部室で、舞は新しい友人と新しい自分に出会った』と最初の方にあるので、この『新しい友人』が彼女たちなのかな? 考え過ぎでしょうか。
 友人たち存在が邪魔というわけではなく、むしろその存在によって彼女が失恋から立ち直れる(その手助けをしてくれる)ように思えて良かったです。


F05 いろはつき
 教え子に卒業までは手を出してはいけません。あとで面倒なことになりますからねぇ。
 遙か昔に過ぎさった高校生活を思い出しても色恋沙汰とは無縁だったので感情移入はできなかったのですが、なんとなく作者の方は同年代の予感。「いろは歌」を題材にされているのが、どうにも今時の女子高生っぽくないのですよ。頑張って今風女子高生を書いているような、破綻しているわけではないのですが違和感があります。
 全然本文には関係ありませんが、会話文の「。」は仲間ですね。嬉しいです(これもフェイクか?)。


F06 太陽と月の王国
 D08の「ばら姫と枯れた魔女」と同じで太陽と月は本当に迷惑ばかりかけますよね。
 「賢明さ」を奪われために龍に勝つというのはエレガントな結末です。この結末だと太陽と月は試練だとか云い出しそうな気がしました。貴種流離譚だな~と。
 太陽と月の使者たる龍が人間ごときに(隣国の王)が寝所に忍び込み宝石を奪えるのものですか? 少し都合が良いかなと思いました。隣国の王が元々主人公の国を奪うために何かしら密約でもあったとか。それで隙をつかれて奪われた??


F07 許し
 涙腺に直撃しました。
 題材に目新しさはないのですが、それだけに解りやすい話だったと思います(これ、褒めてます)。六千字という制約された文字数の中でくどくど説明しないでも読者に理解してもらえる題材は大事かと。それに目新しさがないということは裏返せば普遍性に通じるので文学的要素です。
 重い重い題材を正面切って取り組む覚悟は私にはないので、羨ましく感じました(どうしても書き手目線になってしまいます)。


F08 愛情木端微塵斬り、同情十把一絡げ
 羊が卵を産む世界なのですね! 本題に関係ないところに引っかかりました。
 この話はミロイから見た話なので「可哀想なエリシア」が強調されていますが、実際にエリシアが自分が可哀想だとか不幸だとか思っているかは解らないんですね。直接、エリシアに語らせない所が彼女の不幸体質がより際だたせてます。
 ミロイとジャギの『あんたにふられ続けてる私って可哀想だと思わない? エリシヤよりも』の掛け合いが軽妙で、実は重くなりそうな話をコミカルにしてて、私は好きです。
 「本当のエリシア」が表に出ず、あくまでも二人の世界の「可哀想なエリシア」で完結されてて、それが印象深かったです。最後の最後までミロイとジャギの世界なんですね。


F09 絶筆「明赫」~建館の由来
 「明赫」の意味が気になりました。この意味がフェス様の心情とリンクしていると理解したのですが、どうなのでしょうか?
 アリアから見た優しい王子様は、実は内面に鬱屈した感情や怒りを持っていたという話。継母に疎まれ、心許した友にも裏切られて、絵を捨ててしまった(と解釈しました)フェス様は淡々としてて王子様らしかったです。それだけに内にある秘められた激しさが感じられました。
 白いキャンバスから血のような赤い画が出てくるという仕掛けが、ぞくぞくして好きです。


F10 俺 in QQ 24時
 最後に主人公の成長が表れて良かったです。主人公が成長しなかったら、ただの嫌な話で終わってしまう可能性がありました。
 患者の陰口を仕事場で云ってしまう主人公に読んでて腹が立った(社会人としてダメだよ!)だけに、最後に真面目に仕事に向かい合う姿勢を見せてくれて、なぜか私がほっとしました。
 全然本筋には関係ありませんが、専門性の高いもしくは特殊な職業を書くのは難しいですよね。色々と指摘されそうで私は挑戦すらしないので、それだけで敬意を表します。


F11 『四本の筆』
 Fブロック絵画話二つ目。
 絵の具は高価ですから、あんな嫌がらせはキツイですよね。学費も高いだろうし……えげつないなぁ。フレス・ニユがクロイス・ルヴを避けようとしていたのも解ります。
  『――学院を辞めるの』『ええ。あんなに嫌がらせを受けたら、辞めるしかないわ』のやり取りの部分が彼女たちの立場をよく出てると思いました。その前のシーンで嫌がらせの話をしているのに、わたし(クロイス・ルヴ)は彼女(フレス・ニユ)が受けた心理的・経済的な負担がピンときてない感じが出てるように思えました。最後まで「わたし」はお嬢様でした。

※ここからは私の趣味の問題なので本当に「こういう人もいるのか~」程度で流してください。
 そんな立場の二人がきっと色んなことを乗り越えて画家と画商になり、おそらく良き理解者になったと思われるのに(若干エスパーしました)、その初めの画を美術商が扱ってるのが不思議でした。クロイス・ルヴの死後には家族もしくは然るべき場所にあるのが普通なのでは?


F12 白蛾降る
 野暮なことを云うな、この世界観を楽しめということだと思います。
 わざわざスカパー!の時代劇専門チャンネルに入っている(ちなみにもう一つはJ1&2ライブ!)私としては、すんなり話に入り込みました。ストーリーは単純明快なので、この文章力があれば世界に引きずり込むことは容易だと思いました。
 切々と訴えかけつつも、どこか諦観している語り口が私の好みでした。救われなさが良い!(ハッピーエンド大好きなんですが……)

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感想ありがとうございました。
こんにちは。
覆面作家企画5でF11を書かせていただきました藤原湾です。
 拙作に感想頂き、ありがとうございました。
 このやり取りがクロイスがフレスの負担を分かっていない、最後までお嬢様だったという部分がドキッとしました。絵画をどうして美術商が扱っているのかは、いずれ物語にしたいと思っておりますので、もし遭遇しましたら見ていただけると幸いです。(はっきりしたUP日をお伝えできず、申し訳ないのですが……)
 またご縁がありましたら、よろしくお願いします
 それでは短文ですが、失礼します。
藤原湾 URL 2011/10/18(Tue)17:49:16 編集
Re:感想ありがとうございました。
覆面作家企画お疲れ様でした。
わざわざご訪問いただきありがとうございました。

>絵画をどうして美術商が扱っているのかは、いずれ物語にしたいと思っておりますので、もし遭遇しましたら見ていただけると幸いです。

やはり物語があるのですね! 楽しみしております。
また、ご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。
すず  【2011/10/21 18:35】
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