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オリジナル推理小説サイト「花布」の更新状況及び管理人の独り言。ぐだぐだです。
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 Gブロックの感想です。ネタバレしてます。一応、注意書き及びスタンスをリンクしておきます。→
 なお、抗議・苦情・叱咤激励・矢文などはBlogのコメント欄や拍手やメールフォームからどうぞ。

G01 いきたいと希う
 イジメかっこ悪い!! 祖母宅で出会った不思議な少年二人との交流で少しずつ、杏菜の麻痺していた心が痛みを取り戻していく。ずっと戦うことを強いられていた杏菜は休養が必要で、ようやく「何でもないフリをするのも、強がるのも、疲れてしまったのだ」ことを認められたわけです。ゆっくりゆっくり取り戻していけばいいものの周りの大人はせっついてしまうのは、防げないものなんでしょうかね。
 最後に二人によって杏菜の死にたいという気持ちは消滅して「しばらくは戦えると思ったのだ」となるのですが、生きるというこを戦うことを同義語にこの年齢でしてしまうのは抵抗があります。逃げていいんですよ、本当に。杏菜は西原理恵子の「晴れた日は学校をやすんで」とか読んだらいいよ。

G02 火宅咲(わら)う
「女の従姉の友人の友人から聞いた話」という伝聞の伝聞がこの手の話のお約束ですね。
 母親の呪縛から逃げることをできなかったのか……。彼女の願いが母でなく、自分を消すことだったことにもやもやしてしまいました。炎に浄化されて、彼女の魂は永遠の安寧を迎えられたのでしょうか? それならいいんですけどね……。

G03 これから朝が訪れる
 子どもって残酷ですよね。瞬時に自分と相手の差異を把握して優劣を降してしまう。それも無意識のうちに行ったりして……エレナは意識的だと思いますが。レイラは十三、四歳ぐらいですか? 十二歳で親戚の家に引き取られて、そこから逃げてるんで、年齢にしては幼い。教育を受けてないからだと思いますが、鳥持って学校に行っちゃう辺りが十歳ぐらいの行動だたな、ともの悲しくなりました。レイラ何も悪くないのに。
「私、ずっとあなたを馬鹿にしていたんだから。怒っていいの。もっと悲しんでいいのよ、諦めてしまう前に」
 エレナの言葉に、二人は今度こそ友情を築いて欲しいと切に願います。
 
G04 蝋燭
 最初のか弱い美少女が完全に復讐者に取って変わる過程が、ぞくぞくします。
「C12 緋蓮」と「E05 グラスキャンドルライト」の感想を読またご奇特な方はなんとなく予想が付いているかと思われますが、私はこういう男が大嫌いでしてね。男が最低です。
「男は常に少女に優しかった。もし、男の口から悔恨の言葉を聞かされたら、男を許した自分がいたかも知れない」
と、グッドエンドの選択肢があったのに「僕の所為じゃない」だもの。全面的に少女の肩を持ちます。
 ただし男と一緒に少女まで死んでしまうのは、いただけない(少女はたぶん男に少なからず好意ありますよね)。できれば男も実際には殺さずに社会的に抹殺する方が復讐としは良策だったと思います。無人島の準備をそつなくこなす知能犯です。それぐらいできそうな気がします。

G05 金糸雀に雨
「一枚一枚の内側で金の炎が燃え、たいそう美しい」
 雨にけぶる景色と金色の炎がゆらめく羽。幻想的で美しい描写ですね。
 よだか少年はきっと金糸雀を迎えに行くのしょう。そして、金糸雀はいつか自分を迎えにきてくれるかもしれない少年を想ってこれからも生きていくのでしょう。金糸雀は自分の羽の他にもう一つの生きるよすがを手に入れました。切ないけれど美しく優しい話でした。

G06 ファレと変な魔法使い
 雷の妖精酷いよ! そこで主人を置いてっちゃダメでしょうよ!?
 読んでて思わずツッコミました。この世界は契約した妖精と魔法使いとの関係はかなりイーブンでドライなのでしょうか?
 ライマ様が呪い解けたら美形なのはお約束ですよね。とはいえ、ファレが冒頭でグレン様にキャッキャしてるのに、もう最後の方はライマ様とフラグ立ってるしで、このまま三角関係突入なんですか。いや、たぶんグレン様は解ってファレを送り込んでますよね。このまま二人でお幸せにというこで。

G07 TOMOSU
 またまた脱線しますが、「生命維持の観点から電気・ガス・水道となっているらしい」とありますが、「ガス・電気・水道」です。水道は半年ぐらいは大丈夫だよ! ソースは家人だ! ガスは都市ガスとプロパンがありますけど、あんまり変わらない感じですね。まぁエネルギー関連企業は今は大変なのでガスも電気も早まってるかもしれませんが。
 読んでいて彼女の窮状があんまりにもステレオタイプで大げさな感じがしてたら、『爪に火をともす程に生活を切り詰めている、そんなあなたに朗報です!』と始まるわけですよ。ああ、やられたなっと思いました。「ぐわしっ」の形を取る【TOMOSU君Ⅱ】」で吹いたし。私ならTOMOSU君に「長寿と繁栄を」のポーズ取らしてみたいです。あれ? これが真夜中のテレビショッピングの魔力に??

G08 恋愛未満コンロ。
 「説明しよう。」って、作者さんは特撮好きな方ですか?
「お前に変なもん食わしちゃったの、俺です」
 これが伏線になってるんですね。感心しつつも婚姻届食べさせちゃダメですよ。
 登場人物全員かわいいな、いい子たちだな。かわいい妹の幸せのためとはいえ、お兄ちゃんは辛いんです。ましてや恋心を隠して祝福しなくてはならない。それは、やさぐれるかもです。
 よく考えると妹のお兄ちゃん大好き度も若干兄妹愛を超えているような気もします。そう考えると危ういバランスの関係なのかもしれません(エスパーしました)。云うだけ野暮なんですけど、戸籍見れば血が繋がってないことは一目瞭然ですよ。実は妹は知ってるのかもしれませんね(再度エスパー)。
 お兄さんにも幸せが訪れることを祈ります。

G09 火球少女
 重箱の隅を突っつきます。先に土下座しておきます。サッカー好きなんですというか、生活の基準がすべてそれなのです(自分の結婚式も試合日程の兼ね合いで決めました)。なので、お気に障ることを書くかもしれませんが、サッカーネタまして女子サッカーネタを読めて本当に嬉しかったです。参加者さんのTwitterを読んでると野球好きの方が多かったので、書いていただけて感謝してます(大げさだと笑らわれるかもしれませんが)。
 絶妙のラインだなと思ったのが、四人退場シーン。練習試合だから関係ないといえばそうですが、五人退場したらルール上没収試合ですから、ここはちゃんと調べられるんだなと感心しました。あと宮間の名前が出てきたのが嬉しい。女子サッカー大分浸透してきたんだと感慨に耽ります。宮間はすごいですよ。左右ともあの精度で蹴れる選手は男子でも希有です(ぱっと思いつかない)。
 逆にサッカー好きからみて少し違和感があったのは相沢と青山のレベルが二人いて11人VS7人になったら、こう着状態にはならないと思います。二人はすでにレギュラークラスなので先輩チームの戦力差はありますが、J1とJ2クラスの差ではないでしょう。そうなると四人いなかったら守備でガチガチに守っても得点はされてしまうと思います。二人少ない試合を見ると、びっくりするぐらいスペースが空いてますし、だいたい負けます(例外はあるけれど)。四人も少なかったら言わずもがなです。
 青山がかわいく変身しちゃうのはお約束ですが、残念なことにヴィジュアルって大事な要素だったりするんですよね。楢本の例をあげなくてもお解りかと思いますが、特に女子の場合は顕著です。ただ青山がストーカーの話をしてますが、これは本当に気をつけるべきで、相沢何云ってるの!! とツッコミました。先の楢本の所属クラブでも練習場付近で迷惑行為があったらしく、ピリピリしてましたから。
 あと、女子選手が男子選手と混じって練習なんてするの? とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、高校生同士という例ではありませんが、元日本代表のGK山郷は高校のサッカー部の練習に混ぜてもらっていたことがあります。選手権の常連校ではありませんでしたが、まったくないことでもないんですよ。
 相沢はこのまま青山と友情を築いていくのか、それとも他の関係になっていくのか? 気になるけれどそこで終わっているのが想像できて良かったです。

G10 マイノリティ・レポート
 読ませる文章ですね。淡々としいるけれど、乾ききっていない奇麗な文章。ラヒマヤ山脈を背景したルポ風の内容とマッチしてて、憧れます。
 「(写真。ヤマと無線機。伝統的彩色壁と無骨な鉄とプラスチックの塊とのミスマッチが物悲しい。)」
 物悲しいのでしょうか? 伝統がなくなってしまうのなら悲しいかもしれませんが、変容しつつも継承されていくのなら悲しくないように思えます。
「(写真。消えゆく灯明の火。)」
 ただ、この一文ような未来が来ないことを祈ります。
 最後に、ミステリですが、梓崎優の「叫びと祈り」が作者さんの好みに合うかと愚考しました。ぜひぜひ、お読みいただきたいです(すでにお読みでしたら、すみません)。

G11 イレーネ
 領主の娘と石工職人の恋愛未満の話。身分差よりも二人の間にある溝が絶望感に深い。ハンスは領主のイレーネに崇拝に近い想いを抱いているが、イレーネは軽い親愛の情だけなのが悲しい。「あなたとまた会えて良かったわ」というのは、会えたことに満足して次の機会を望んでるわけではないようです。
「ああ、無事なのか。逃げてくれ。誰の手も届かない遠くへ落ち延びてくれ、イレーネ。僕はここで死ぬ。」
 イレーネに関わったせいで命を落とすのに、死ぬ間際までイレーネのことを想っているのに、ハンスが瀕死なことにも気付かずに落ち延びていくわけです。「父親の力が及ばない、自由な世界で」と最後にハンスが願う訳ですが、純粋培養されたお嬢様が生きれるの父親の加護があればこそという現実にを思うと、ハンスが憐れで泣けてきます(ハンスは満足な顔で天国に逝けそうだけれども)。

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 Cブロックの感想です。ネタバレしてます。一応、注意書き及びスタンスをリンクしておきます。→
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C01 天翔る竜と天下無双のドラゴン娘!(仮)
 最初の語りとタイトルのテンションは一致しているのに、そこからの本文の落差が激しいですね。「同じ釜のライスを食べた仲!」にププってしました。 
 チカがケイトの実家で初めて人間の彼の顔を知るというのが、彼女に取って「速星号=ケイト」であることを信じ、戦友よりも深い絆で結ばれていたように思えました。
 読んでる途中はバッドエンドを予想してました(速星号を殺処分した後に、新たなドラゴンたちに襲われる結末)が、最後に在りし日の二人の姿が出てきて悲しい話なのに爽やかな印象が残りました。こういう終わり方が奇麗で好きです。
C02 桜都狂騒劇場
 様式美ですよね、この探偵と助手の関係。探偵物大好きです。
 唯我独尊で有能だけど、万能ではない東。そこを補助する苦労人の北。どれだけ私の萌えポイントを押しまくるでしょうか?
 「何とでも言え。同じだろうが外道だろうが、俺はお前をゆるせない。俺こそが正義だ。天に愛されし俺はすべてにおいて正しく正義だ!」
 なんて青臭くて傲慢な台詞でしょ! 私も探偵役にここまで清々しい台詞を云わせたいよ……。
 南さん登場シーンで東西南北だと気づいて、最後の西さんのぶっ飛び具合い吹きました。
 最後の北の独白で締められて、二人の関係と今後が気になりました。続きはないのかな〜?
C03 時よ止まれ、汝は美しい
 SF(少し不思議)と思ったら、現実の事件だっ! と思ったら……これはどっちなんだろう? 
 健ちゃんは真面目なタイプだからマネージャーのあかりちゃんと親しくならないように、でも徐々に惹かれ合って悩むんだろうなぁ。うっかり仲良くなると相手がデッドエンドですからね。
 最後に、放火事件のことを最初の段階でちらりと触れていれば伏線になってミステリ好きとしは大満足なんですが、意図したジャンルが違う場合は聞き流してください。
C04 ほんとうの救世主
 ジャンヌ・ダルクよりある意味悲惨。皇太子妃にまで祭り上げられたけれど、父殺しの業を背負わされただけでも不幸なのに、人類全員に裏切られて火炙りって悲惨過ぎます。
 それでも運命に流され、受動的な生き方しかできなかったイリアナが唯一自分の意志を通して助けた魔王の息子と共に逝けるのは、ほんの少しだけ救いがあったような気がします(助けても助けなくても殺される結果は変わらなそうなので)。
「君を陥れる事で嘘を隠そうとするこんな世界、滅びてしまえば良いんだ。だから」
 この一文が私の気持ちも代弁してくれてるなぁと思ってたら本当に滅んだよ!
 最後の子供の「イリアナはニンゲン達じゃなくて僕らの救世主だね!」はシニカルで、なかなかパンチが効いててなんとも云えない気分になりました。
C05 ともしびの揺れる
 大量のメモの段階で、記憶障害を疑ったのですが、認知症の祖母だったのですね。見事にひっかかりました。それにしても痴呆症の家族の大変さがよく出てるというか、文章から苦労がにじみ出ていて、実際にご家族にいらっしゃったのかなと愚考しました。
 以下、私の趣味の問題なので読み飛ばしていただいても大丈夫です。視点の転換と人称が変化するのは、この話の構造上仕方がないのですが「彼女の話」の部分は三人称彼女視点でなく、一人称でも良かったような気がします。内容としてミスリードをさせる意図であるなら一人称の方がすっきりしてて読み易いと思います。
C06 あの温もりを思い出せない
 最近の中学生はませてますね。最初、高校生ぐらいかと思いました。しかし、この中学生であることが狂気を孕む一途さが生むのかもしれません。「ロミオとジュリエット」のジュリエットの年齢がシェイクスピア版で13歳(14歳目前)と若くなったのは、若さ故の激情で悲劇まで一気に突き進ませるためだと読んだことがあります(真偽不明)。それを思い出しました。
 現実問題として、さすがに中学生に手を出す教師もいず、それ以前に「カワイソウないじめられっ子でも、マジメな優等生」であれ「生徒」という十把一絡げから抜け出すのは容易ではないわけです。抜け出すための方法が、とんでもないのは中学生らしい幼さが現れているような気がします。
 冒頭の「ペットボトルに詰めたガソリンは、不思議なほどきれいだった。透き通った液体の向こう、ゆらゆらと揺れる景色をしばし眺める。」の部分は、彼女自信の不安定さが感じられる良い文章だと思いました(すみません。なんか偉そうになりました)。
C07 深夜ドラマは30分ものに限る
 タイトルに賛成! あまり見ませんが、「トリック」は最初短かったような気がします。
 さて、ドラマの中に入ったのにドラマはあくまでもドラマでフィクション設定というのが珍しい。
「だが彼女の胸には短剣が突き刺さ……あっ、この人普通に息してる。」
 えっ!? 息してるの?ってツッコミましたから。
 ニート探偵って珍しくはないんですが(古くは都筑道夫の「物部太郎」がいますよね。すばらしいニートっぷりと骨太本格ミステリが楽しめるので、ご興味のある方はぜひご一読を)、ひきこもっている理由が「事件を引き寄せてしまう体質」というのは初めてでしたし、大いに納得しました。本当に外にでるなよって思ってますから、コナンくん。
 きちんとミステリしてて、笑えて、とても楽しかったです。
C08 火刑に処す
 恋心って難しい。淡くても燃え盛っていても恋情は抑えられないものだと思います。
 南雲さんが刻子さんから向けられた気持ちを受け入れられなくとも、真っ正面に向かい合っているだけで彼の人柄が解ります。外見だけではなく、誠実で素晴らしい人柄なんでしょうね。
「ですがね、南雲どの。
 火に火をくべたところで、消えるなんてことが、あるのでしょうかね?」
と、最後に語りかけていますが、「思い出話をいたしましょう。」と始まったこの恋の物語は思い出に昇華されたのかどうか……本当に恋心って難しい。
C09 真夏のブーメラン
 これが噂のパンツブロックの元凶!! というか「バーロー」が多過ぎです。
 青春です。幼馴染とか超萌えます。ましてや男二人で女一人を奪い合うとか、なにそれ美味しいってものです。
 タイトルはブーメランパンツだけではなく、内容にもちゃんと何重にも掛けてあるんですね。現在から過去から現在に戻る時系列もそうだし、三人の関係もブーメラン型(三角形の底辺がない状態。コータ→みずき←大地)です。花火に誘った時の反応を見るとコータの方が一歩リードですかね? 
C10 あなたの健康を損なうおそれがあります
 最初っから脱線します。獺祭は職人(杜氏)に頼らずに、倉を工場化し工程を徹底的にマニュアル化して一般社員(若干云い過ぎ)が作れるようにした日本酒です。美味しいらしいですね、飲んだことないんですけど。
 さて、宮田さん。ブラックな会社からメン・イン・ブラックな会社に転職おめでとうございます(二人組って狙ってましたよね?)。ブラック会社から逃れられるし、警察と保険屋さんからの追求も逃げられるなら、少しぐらい怪しくても転職しますよね。ああ、羨ましい(現在、無職です)。
「鈴木は片手で首を掴んだ一升瓶を眼前に持ち上げて(略)一升瓶の口から生えた日本刀」
 うら若き女性が一升瓶抱えてる戦闘シーンもなかなかないですが、一升瓶の口かた生えた日本刀といはビジュアル的にキてます。そもそも一升瓶で獺祭持ってくるだけでも規格外ですよね。いいキャラしてます。主役の宮田さんを食ってますよ。
 最後の一文が、妖怪ハンターでも正義の味方でもなくサラリーマンだというのが現れてて良いですね。
C11 この気持ちにつける名前をまだ知らない
 百合の花提灯が文字としても、情景としても奇麗で素敵なセンスで羨ましい限りです。あとですね、「ささやくよりも大きく、つぶやくよりも小さな声」という文章も好きです。Kindleにハイライトつけましたから!
 少し気難しいそうな主人と忠義のメイドさんの関係は読んでて微笑ましくも、少し切ない印象を持ちました。二人の出会いの経緯とティカの言葉は良い話でもあるのですが、エミールの気持ちががいつか来る別れに向かってるからかもしれません。
 「人間の街に偶然、足を運んでからもう6年も経つのかと思った。」と最初の方にあるので、エミールは人間ではなく、ティカとは同じように時を刻めないためにいつか別離を迎えてしまうのでしょうか。そう思うと余計切なくなります。
C12 緋蓮
 作者様に先に土下座します。この手の話はジャンル的に馴染まないので、より検討外れなことを云っているかと思います。魁にツッコミまくってます。作者様のせいではなく、すべて私の好き嫌いが暴走している感想なので、お気を悪くされたら申し訳ございません。

 なんと云いますか、魁、そこまで紫樹を想ってるなら親父どうにかして二番目の嫁もらうなよ! 二人はラブラブで良いかもしれないけど、香さんは年端のいかない娘で十五歳だよ! 可哀想じゃないか!
 脳内補完でアラブっぽい世界を想定しました。側女や妾ではなく「もう一人の妻」と表現してるので。ということは、この世界はどういう婚姻制度かは判りませんが、妻間は建前上はたぶん平等(実際のところ最初の妻が先輩なので立てられるけれど、子どもが生まれたらパワーバランスが崩れる)。つまり夫も平等に接しければならないのではないでしょうか? そうじゃなくても結婚したばかりの香さんを放っておいて紫樹さんに掛っきりになりそうなラストシーンを読むと、お幸せにと思う反面、蚊帳の外の香さんを哀れで泣けてくるのです。

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 まずは直近で読んだEブロックからです。一応、注意書き及びスタンスをリンクしておきます。→
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E01 生きてさえいれば
 えー、いい話だなと思ったら父親が作った同人誌ですか。お話のように現実は奇麗事云ってられないというシビアなエンド。確かに家財道具も家族も失ったら身一つで助かっても絶望するわな。同人誌の家族関係がそのまま現実に当てはまるかは判りませんが(むしろお姉さんに関しては「お姉ちゃんが辛さから逃げるために自分を燃やした火」とあるので、もっと悪い状態に思える)「あたし」は変わらなそうです。
「野次馬が騒いでても、傍にはあたしの傍には誰も来ない。一緒に住んでいるお父さんとお母さんとお姉ちゃん。
 みんないなくなって、あたしだけここにいる。」
 と、あるように同人誌と同じように家族が寄り添っていたら、きっと「生きていれば」と云えたんだろうなぁ。
 タイトルは「生きて”さえ”いれば」で本文中は「生きていれば」ですが、「さえ」のあるなしはどんな意味があるでしょうか。そこが気になりました。
E02 キドニーパイをひとくち
 「シャーリー」の二巻が出て大喜びの私ですので、メイド萌え! 超萌え! であります。事前に飯テロと聞いていたので、いちじくのパフェとフルーツサンドをお供に読んだ私には死角がなかった。
 当時の風俗やさらりと説明が挟まっていて書き慣れている印象でした。クリスマスの一日を通して主人公の置かれて立場や将来への葛藤を短いページで奇麗にまとめられています。なによりイギリス料理なのに美味しそう(偏見)なのがすごい。
 最後の前向きだけど、主人公の進路を触れずにミドルトン家のクリスマスで終わるのが余韻があって好きです。読了後の想像が膨らむんで。
 素朴な疑問なんですけど、主人公リネットは結婚してるのですか? 「ミセス・ストー」と呼ばれていたので結婚しててもロンドンに行けるものなのでしょうか? それとも慣習である程度の年齢と立場があると「ミセス〜」になるものでしょうか?
E03 火を目指して飛んでいけ
 どんなに大切な友達で大好きな子でも、すべてを許せるわけではない。理性では割り切れることでも感情は追いつかないこともある。ましてや思春期の女の子ならば、特にそうなんだろうと容易に想像ができます。ひーちゃん、いい子だから余計に鬱憤溜まるんだろうなぁ。親友まで遠いところに行って欲しくないから、香子ちゃんの言動にフラストレーション溜まるだと思います。
「たまちゃん、キュウリのお馬に乗ってるんよ。うちは、真っ白な折り鶴に乗ってた」
 ここがとても好きです。映像がぱっと浮かんで、幻想的でちょっとクスッと笑える要素があって素敵です。
E04 酔夢春秋
 天狗と幼女との友情もの。お約束と云ってしまうと軽くなりますが、永遠に近い時を生きる者と短命な人間との一時の交流ですね。ええ、好物です。
 ちさを山火事から助け出して、めでたしめでたしと思いきや「これまでに仲良くなって一緒に遊んだ里の子が、みな自分より先に大きくなって自分を忘れてしまったこと、それからあっという間に年を取って死んでしまったことなど、今はすっかり忘れている」を突っ込んでくるあたり作者様はよく解ってらっしゃる。
 タイトルからして、この最後になるのは解っていたんですけどね。酔夢童子が永遠の童っぽいので余計胸に刺さります。せめて、ちさと長く楽しく遊べますようにと願います。
E05 グラスキャンドルライト
 バンドマンと付き合っちゃっダメ。インディースでもメジャーでも関係ない。ありゃ、ろくなもんではないですよ(偏見に満ちてます)。
 全体的に主人公の乙女嗜好バリバリっぷりに微笑ましくも、どうせバンドマンなんだから〜と思って読み進めていました。未練タラタラなんだもん。いっその事、一線越えてた方が吹っ切れたと思うんですよね。良い人ぶってんじゃないよ、卓巳くん。
 最後の主人公の淡い期待に決着ついても、良い思い出化されていて、きっと卓巳くんも美化されてるんだろうなぁと思うとなんかこうモヤモヤします。
E06 ことのはに
 少し不思議な話。これもフォーマットに沿った流れで、読者の期待を裏切らない。女将が年若い美人だったら喪黒福造的展開もあったりするのかもしれませんが(奥さん裏切っちゃうパターン)、そんなこともなく読後にうっかり受けてしまうダメージを懸念する必要がなくなります。
「『言葉に火を通す』、忘れるんじゃないよ」
 夫婦間でも仕事でも言葉って大事ですよね。一言で思わぬ方向に転がっていくことが多々ありますからね(遠い目)。ただ、この主人公は女将の言葉にご立腹で、奥さんに言葉の謎解きをしてもらっているので、ちゃんと自分の言動を振り返ったのかなというのが気にかかりました。
E07 暁の女神と黄金の悪魔(※注)
 戦場の勇ましい皇女は本当は普通のお嬢さんだったというギャップ萌え。そうじゃないと、最後の選択が腑に落ちないですしね。
「――はらりと、花が、落ちた。」
 古風な表現です。時代劇(しかも80年代以前)でしか見たことがなかったので却って新鮮でした。文章だと初めて読んだかも、朝チュンよりも全然奇麗な言葉だなぁ。
 おお、この流れでハッピーエンドなったので驚きました。広大背景のロミジェリ両者が手に手を取って逃げるのはロマンですよね! この状態で逃げるのかっていうツッコミできますが、この状態で帝国が負けるとも思えず、ルシウスも帰ってきたら幽閉されるしで王国に嫌気もさします。
 ページ数の制限の影響で二人の背景がかなりぎゅうぎゅうに詰め込まれていたのが少し残念でした。花が落ちる前にルシウスが読んでた手紙には事の真相(母が謀殺し、国の兄を廃嫡しのは、自分を国王にして傀儡政権作るため帝国が仕組んだ)が書いてあったのでしょうか? それともズバリ、皇帝暗殺の指示でしょうか? 彼自身は穏やかそうで自分から行動を起こすタイプには思えなかったので……その方が最後の国を捨てるのも解るような気がします(私の勝手な考えですが)。

E08 女神は灰の夢を見る
 冒頭の一文でガツンとやられました。 ‏
 「私の同僚であるところのS女史の豊かな胸の内側の暗闇には、赤い火が燃えている。」
 これで興味を惹かれないわけがない! こういう冒頭が書けたらいいなぁ。すごいなぁ。憧れる。
 S女史の秘密を知ってしまったわけですが、キタキタのようなことなく主人公は無事に日常に戻っていきます。ただ、主人公にはS女史の胸の中に赤い火を燃えていることを忘れることはないんでしょうね。
 こういう話書きたいです。
 

E09 The Phantom Circus, Fire Funeral
 老人が死ぬ間際に見た夢現の物語。サーカスってだけで、なぜた幻想的に見えてくるから不思議です。
 セシリアとアーロン助からなかったんですね。最後に夢の中で会えて主人公は心置きなく旅立てたのでしょうか?
「握り締めた腕に硬い感触。消火器。ディックはピンを引き抜き、ノズルを炎に向けた。」
 これで二人が助かるエンド来るのか!? と思って読みましたが、
「トリガーを引く。あふれたのは消火液ではなく、きらびやかな銀の煙と紙吹雪。」
 あくまでもこのサーカスは夢の世界だと思い知らされます。心の傷を抉ることを再現させる理不尽さが妙にストンと心に落ちました。

E10 朱樂院家の焼失
 勧善懲悪ですね! 蓉子が性悪っぷりが凄い。自分の姉の顔を焼いて、そのまま火傷痕を醜いと蔑むってどんだけ外道だよ! あのまま瞳子を追い出したら、次は奥様と仲違いして
 主人公誘惑して朱樂院家乗っ取り完了。ここまで妄想が進みました。憎まれ役が中途半端だと最後のカタルシスがイマイチになってしまうので、これぐらい酷い方がちょうどいいですね。
 主人公が最初「それ」と云ってたのに「瞳子」に変わったていくのが心情が現れてて良かったです。

E11 種火
 新選組ですね。池田屋キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ !!!  私のジャンルなんでテンション高いですよ(某歴史雑誌の投稿者でしたし)。
 近藤視点で話が進みます。ページ数のことを考える終着は池田屋に乗り込むところだろうなぁと検討がつきます。テーマは「火」なので、京都を火の海にする計画に絡めるのかな? と思って読み進めてました。なるほど、そう落としたかというラストでした。タイトルと合わせて上手いなぁ。
 以下、新選組(新撰組)好きのたわごとです。このページ数に収めるために京の情勢やその他諸々の説明を削ったのは潔いですが、初心者にはハードルが高いのではないかと思います。反対にマニアには知っていることの羅列にも思えるほどの簡潔さでした。近藤視点なので、近藤の思想というか情勢についての考えとか憎いあんちくしょうとか書いてもらえると嬉しかったです。あと山崎さん出して欲しかった……完全に趣味です、ハイ。
 最後に、難しい題材を選んで書こうというだけで尊敬できます。まさか覆面企画で新撰組ものが読めるとは思いませんでした。ありがとうございます。

E12 プロメテウスの崖
 あーもう、難しいなぁ、これ。えーと、作者は盲管さんですよね? 
 近未来SFです。お気を悪くされたら申し訳ないですが、読んでて「ハーモニー」を思い浮かべました(「ハーモニー」大好きです)。主人公の境遇と年齢と階級から考えると防衛大出の幹部候補ってところですね。
 こちらも一切余計な説明がない感じです。せめて「EPTと呼ばれる単座二脚戦闘車」をもう少し詳しく説明していただけると想像できます。ストーリーは詰め込んでいるような気がしますが、スピード感を考えるとあんまり書き込んでもバランス悪くなるし難しいところです。それでも、もう少しページ数足して読みたかったです。
 地球温暖化とエネルギー問題が絡んで起こりえる未来として想像できました(再生エネルギーはこの世界でも主流じゃないのか)。さすが腕があるなぁ。

拍手[0回]

 とりあえずいつもの二人を召還(委員長&副委員長)。
委「名探偵 皆を集めて さてと云い——すずはこのブロックにいる。」
副「それはいるでしょう。やる気がまったくありませんね。」
委「あるわけないだろう。すずとしても正直ボーナス問題のつもりだったらしいからな。」
副「ですが、いつものエセ本格ミステリではないのでしょ。」
委「らしいな。さすがに真っ裸で往来に出る蛮勇は奮わなかったらしい。」
副「恒例の行事、家人に読ませてみたそうですけど、これもどうも当たらなそうだとのことです。」
委「夫婦の危機に発展する可能性有りってわけだ。」
副「それはともかく、ミステリ色を抜かすと没個性ということですね。」
委「君、結構云うね。」
副「日頃の恨みです。わたしの扱い悪過ぎませんか。」
委「地味な眼鏡っ娘の図書委員で、おまけにブラコン。充分キャラ立ってて羨ましいぞ。」
副「……(銀縁眼鏡のシリアルキラー顔の探偵役に云われたくない)。」
副「これ、私が書きそう!! って話もあったそうなので、ブロック分けに助けられてると見て間違いないですね。」
委「つまり犯人は主催者様ってことで。」
副「ネジ子さま、オチに使ってごめんなさい。」

拍手[1回]

■作者名
 すず
■サイト名&アドレス
「花布」
 http://suzu3594.kirisute-gomen.com/index.html
■参加ブロック
 Fブロックでした!
■自己紹介、プロフィールページはありますか?
 簡単な内容なら →こちら
 四年前の100質問 →こちら
■好きな(得意な)ジャンルはなんですか?
 ミステリ脳です! ミステリの文法しか知らないんですよ。
 読む方は時代小説とSFも少々。
■好きな作家さん&作品を教えてください。
・小川洋子の「薬指の標本」
・津原泰水の「綺譚集」
・司馬遼太郎の「燃えよ剣」「新選組血風録」
・江戸川乱歩「孤島の鬼」
 棺桶に入れてもらう予定の本たちです。
■最近読んだ本の中で、オススメの1冊と言えば何ですか?
 国内は、津原泰水の「11(イレブン)」。
 国外は、ティムール・ ヴェルメシュの「帰ってきたヒトラー(原題:Er ist wieder da)」。
■創作以外の趣味はなんですか?
 サッカー観戦!! ぬるサポ。読書と写真を少々。基本的にインドアなオタク活動ばかり。
■今まで、覆面作家企画に参加されたことはありますか?
 第5回に参加しました。A07「色覚研究奇譚」。
■前回参加時、あなたの作品はどなたの作品だと推理されましたか?
 ろく 様 
■前回参加時、あなたは誰の作品の作者と推理されましたか?
 楽遊 様(A11「月影に色ふ」)
■前回と同じブロックだった作者さん、今回もいますか?
 残念ながらいらっしゃらないようですね。
■この作品を書くのに、どのくらい時間がかかりましたか?
 構想三ヶ月。執筆期間は二か月。実質に二週間ってところでしょうか? 初稿から五稿までできました……クオリティに反して時間だけはかかりましたよ。
■ズバリ言って、今回、あなたの作品を推理するのは簡単ですか?
 探すのは難しくないと思います。書き癖はそのままです。
 ※「云う」と会話文末の「。」は使用してません。即時に見破られてしまうと企画の趣旨から外れますので。
■この企画のために書いた作品、他にもありましたか?
■その作品を提出しなかった理由は?
 ないです。
■この企画への参加作品以外で、一番最近書いた作品は?
 夏コミに出したコピー誌を抜かせば、サイトの「ある現国の教師の休日」→こちら
 書庫からリンクは繋がってませんが企画提出作品(OPP企画)の「かみきり」→こちら
■その作品は、推理のための重要なヒントになりますか?
 サイト内の作品が少ないので、すべてがヒントになると云えばそうなります(「白玉」以外)。
■企画への意気込みをどうぞ。
 今回は私の「萌え」を詰め込んだつもりでしたが、力量不足は否めません。自分の萌えは自分では書けないものかもしれませんね——これじゃ、愚痴ですがな。
 前回よりも難易度は低いと思いますが、探してみていただけれるとうれしいです。
 

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